氷の下で息づく火山 ヨーロッパ最大の氷河が隠す、火と氷のせめぎ合い

2026年7月12日TBS世界遺産のテレビ放映。この回は太古より繰り返された火山活動によって誕生したとの切り口で4つの世界遺産が紹介されました。そして3つ目の世界遺産は、広大な氷河の上に刻まれたアートのような模様を織りなすヴァトナヨークトル国立公園です。この国立公園は、アイスランド南東部に広がる国土の約14%を占める広大な火山地帯に位置します。首都レイキャヴィークから約400km離れており、ヨーロッパ最大級のヴァトナヨークトル氷河を中心に構成されています。この氷河は、その下で今も続く火山活動(グリムスボトン火山)と氷が共存する世界でも珍しい場所です。

空撮では、一面の氷河に描かれたマーブル模様。アートのような地上画が。

火山が噴火したことで大量に吹き出た火山灰が、風で運ばれ、氷河の表面へ。冬になると、その上に雪が降り、氷となります。夏には氷河の上に埃などが溜まる。この繰り返しで層が重なることで、独特のマーブル模様が現れたとのこと。

ヴァトナヨークトル国立公園の場所を地図で確認しました。

地図中心:ヴァトナヨークトル国立公園(北緯64.4°、西経16.9°)

ヴァトナヨークトル国立公園が世界遺産となったのは

(1)世界遺産の登録根拠

2019年7月5日、「火と氷の絶えず変化する自然」として世界自然遺産に登録されました。2008年にスカフタフェットル国立公園とヨークルスアゥルグリューフル国立公園が統合して誕生した、ヨーロッパで2番目に広い国立公園です。

登録年2019年
登録基準(viii)地球の歴史上の主要な地質学的過程を示す顕著な見本(氷底火山、氷河湖決壊洪水などの地形発達過程を含む)
面積約14,141k㎡(国土の約14%)

(2)配慮(自然保護・政治・軍事・リスク)

  • 自然保護:園内には10ヶ所の火山があり、うち8ヶ所は氷河の下にあります。氷底湖には氷河期を生き延びた固有の単細胞生物相が存在し、木星・土星の氷衛星の環境研究にも参照される学術的価値を持っています。
  • 軍事:軍事的な制約はありません。アイスランドは軍を保有せず、NATO加盟国として政治的にも安定しています。
  • 政治的配慮:気候変動により氷河の厚さがこの15年で毎年約1m薄くなっているとされ、環境保全と観光客増加のバランスが国内の政策課題になっています。
  • リスク:「ヨークルフロイプ」と呼ばれる氷河湖決壊洪水は突発的な自然災害であり、天候急変や火山性ガスにも注意が必要です。アイスケーブ・氷河ハイキングは必ず専門ガイド同行が条件になります。

ヴァトナヨークトル国立公園に行くには

(1)個人での訪問

国立公園への入園自体は無料で、個人でのレンタカー訪問も可能です。ただし氷河ハイキングやアイスケーブ探検は専門ガイド同行が必須で、個人での立ち入りは安全上禁止されています。

(2)ツアーの有無

国内旅行会社JTB、HIS、クラブツーリズム等がアイスランド周遊ツアーの一部としてヴァトナヨークトル訪問を組み込んでいます。
現地ツアー会社Glacier Adventures、Local Guide of Vatnajökull等がアイスケーブ探検・氷河ハイキングを催行。ベルトラでも「アイスケーブツアー」「氷河ハイキング」が現地発着で予約可能です。

(3)日本からの到着までのルート・日数

  • 日本 → 欧州主要都市(ロンドン、コペンハーゲン等)経由 → レイキャヴィーク(ケプラヴィーク国際空港)
  • 現地ではレイキャビクから国道1号線経由で車で約5時間、または国内線でホルナフィヨルズゥル空港まで約1時間
  • 移動日を含めると、周遊観光として全体で7〜10日程度が現実的です。

(4)必要な手続き

  • アイスランドはシェンゲン協定加盟国のため、日本国籍者は90日以内の観光目的でビザ不要です。
  • 国立公園の入園自体に手続きは不要ですが、アイスケーブ・氷河ハイキングは事前予約制のガイドツアーへの申込みが必要です。

ヴァトナヨークトル国立公園の気候とベストシーズンは

(1)年間を通しての気候

亜寒帯・海洋性気候で、夏(6〜8月)でも平均気温は10℃前後、冬は氷点下が続きます。日照時間は夏至の頃にほぼ白夜、冬至の頃は日照4〜5時間程度と季節差が大きいのが特徴です。

(2)アクティビティ別ベストシーズン

一般観光・氷河ハイキング目的地によって異なるが訪れる最適な時期は夏(6〜8月、日照時間が長く道路状況も良好)
アイスケーブ(氷の洞窟)探検11月〜翌3月の冬季限定で専門ガイド同行の探検ツアーが催行される
レンジャーガイドウォーク6月中旬〜8月中旬は毎日実施される一方、冬季は立ち入り禁止エリアもある
氷河湖クルーズ夏季を中心に、水陸両用車によるヨークルスアゥルロゥン氷河湖クルーズが人気
氷河ツアー
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氷河を体験するのであれば

氷河の世界を体感する旅、想像するだけでワクワクします。旅行会社や現地ツアー予約サイトで「国名+氷河ツアー」で検索すると候補が見つかります。また、アラスカなどへのクルーズもあります。美しい大自然と向き合ういい旅ができそうです。

代表的な氷河体験エリア

カナディアンロッキー カナダ

日本からのツアーや日本語ガイドが多く、初めての氷河体験でも参加しやすいです。
コロンビア大氷原のアサバスカ氷河上を雪上車で走り、氷の上を歩ける観光ツアーが定番です。

  • バンフやレイクルイーズ発の日帰りツアーが豊富
  • 日本語現地会社もあり、相談しながらプランを組める

ノルウェー・スイスなどアルプス圏

こちらも氷河観光ができます。特にスイスのユングフラウヨッホは鉄道で氷河直下までアクセスできます。

ニュージーランド

ニュージーランドでも、体験ができます。南半球なので、北半球の暑い季節に氷河体験できるのも、グッドチョイスですね。

火山と氷を組み合わせるであれば

氷穴(日本で体験できます)

富士山麓の「鳴沢氷穴」「富岳風穴」(山梨県)は、溶岩洞窟内に一年中氷柱が形成される国内でも珍しいスポットです。火山(富士山)と氷の組み合わせという点で、番組の切り口に近い体験ができます。

鳴沢氷穴(山梨県南都留郡鳴沢村)

参考情報源・写真素材

情報源(URL付き)