スールー海のど真ん中、360種のサンゴが織りなす環の楽園

火山が沈んで生まれたリング「トゥバタハ岩礁自然公園」

鮮やかなマリンブルー、世界中のダイバーを魅了する海の世界。地球の営みはこの星に様々な景色を刻んできました。
との鈴木亮平さんのナレーションで始まった2026年7月12日TBS世界遺産のテレビ放映。この回は火山という切り口で4つの世界遺産が紹介されました。

世界遺産に興味があっても4か所とも行くにはなかなかハードルが高そうですが、世界遺産ファンとしては、ぜひとも押さえておきたい情報です。このブログでは、「トゥバタハ岩礁自然公園」を取り上げます。

「トゥバタハ岩礁自然公園」は、大きな輪を描くその姿から環礁、サンゴ礁です。 「衛星写真を見ると、リングの形がくっきり。輪の最も長い部分はおよそ 16キロ。環礁に潜れば、そこはサンゴが織りなす海中の森。」と美しい映像が続きます。

そして、「海の神秘と出会いました。サンゴの産卵です。無数の卵が夜の海へと舞い上がります。 この小さな命が豊かな海を未来へつないでいくのです。」とのナレーション。

撮影には、相当な苦労があったと思います。そして豊かな海を守る大切さを感じました。

トゥバタハ岩礁自然公園の場所を地図で確認しました。

トゥバタハ岩礁自然公園は、フィリピン・パラワン島から南東へ約150〜180km、ネグロス島とパラワン島の間に広がるスールー海のほぼ中央に位置します。北礁と南礁、そしてジェシー・ビーズリー礁の3つのサンゴ礁からなる、周囲を360度海に囲まれた海洋保護区です。下のグーグルマップを拡大するとタバタハ・リーフが現れてきます。トゥバタハ、タバタハどちらが現地の発音に近いのでしょうかね。

地図中心:トゥバタハ岩礁自然公園(北緯8.85°、東経119.85°)

トゥバタハ岩礁自然公園が世界遺産になったのは

(1)世界遺産の登録根拠

1993年、フィリピン初のユネスコ世界遺産(トゥバタハ岩礁海中公園)として登録され、2009年に北側の岩礁地帯を加えて約3倍に拡張、現在の名称「トゥバタハ岩礁自然公園」に変更されました。かつては火山島だった場所が、地殻変動で島が沈み、サンゴだけが輪を描くように成長し続けて環礁になりました。

登録年1993年登録/2009年範囲拡張
登録基準(vii)大型生物・遠洋魚の大群が見られる多様な海洋生態系
(ix)スールー海の海洋生物の繁殖・分散過程を示す進行中の生態学的過程
(x)絶滅危惧種の生息地(フィリピン産サンゴの約9割にあたる約360種)
面積約97,030ヘクタール

(2)自然保護・政治・軍事・リスクなど配慮すべきこと

  • 自然保護:絶滅危惧種のシロハラグンカンドリの生息地であり、ネムリブカの重要な生息域。訪問者には世界遺産パークフィー(約US$83)の支払いが義務付けられ、保護活動の財源になっています。釣りやジェットスキーなど環境負荷の高い行為は禁止されています。
  • 軍事:過去にダイナマイト漁による珊瑚礁破壊が問題視された経緯があり、現在はフィリピン沿岸警備隊とレンジャーが常駐して監視しています。2013年には米海軍掃海艇が保護区内で座礁する事故も発生しており、国際的な航行安全と自然保護の両立が課題です。
  • 政治的配慮:フィリピン政府観光省・環境天然資源省の管轄下で厳格に管理されており、渡航自体の政治リスクは低い地域です。
  • リスク:絶海の環礁で医療機関から遠いこと、モンスーン期は海が荒れて船が出せないことから、運航期間が年間3ヶ月に限定されています。

トゥバタハ岩礁自然公園に行くには

(1)個人での訪問

個人でのアクセスはまず不可能です。周囲を海に囲まれているため、認可を受けたダイブクルーズ船に乗船することが唯一の手段になります。

(2)ツアーの有無

国内旅行会社PADIトラベル、ワールドエクスプローラなどのダイビング専門旅行会社が現地クルーズと提携したツアーを取り扱っています。
現地ツアー会社My Palau Sport、Solitude Oneなど複数のダイブクルーズ船会社が運航。ベルトラでは現時点でトゥバタハ発着の直接予約はほぼ確認できず、国内専門旅行会社経由が主流です。

(3)日本からの到着までのルート・日数

  • 日本 → マニラまたはセブ島(直行便) → パラワン島プエルトプリンセサ(国内線乗継)
  • プエルトプリンセサからボートで約10時間(会社によっては最大16時間)かけて現地へ
  • クルーズ日程は6〜8泊が標準。日本からの移動日を含めると全体で10日前後を見込む必要があります。

(4)必要な手続き

  • フィリピン入国にビザは不要(観光目的、30日以内の日本国籍者)。
  • 世界遺産パークフィー(約US$83)は現地で別途支払うのが一般的です。
  • ダイビング資格(オープンウォーター以上)が必須です。

トゥバタハ岩礁自然公園の気候とベストシーズンは

(1)年間を通しての気候

モンスーンの影響で年間を通じ海が荒れるため、ボートが運航するのは3月下旬〜6月上旬の約3ヶ月間のみです。それ以外の時期は船会社自体が運航を停止するため、訪問できません。

(2)アクティビティ別ベストシーズン

ダイビング全般ベストシーズンは4月・5月(運航期間は3月下旬〜6月上旬)
マンタ・サメ類シーズン中はほぼ通年、レギュラーで遭遇できる
ジンベエザメ春先(4〜5月頃)に姿を見せることがある
予約タイミング半年前から予約が埋まるため、早期予約が必須

フィリピンには他にも似た観光地が

アクセスの負担を下げたい場合は、フィリピン・パラワン島エルニド周辺が代替候補です。トゥバタハと同じスールー海文化圏にありながら、島からのボートツアーで気軽にサンゴ礁とラグーンを楽しめます。日本からマニラ・プエルトプリンセサ経由で直接アクセス可能です。

サンゴの産卵を見るという貴重な体験。これは国内でできます。

日本で体験できる場所

沖縄県(慶良間諸島、恩納村、石垣島など)や鹿児島県(奄美大島など)では、例年5〜6月の大潮の夜にサンゴの一斉産卵が見られ、ダイビングショップが「サンゴ産卵ナイトダイビングツアー」を企画しています。環礁そのものはありませんが、透明度の高いサンゴ礁海域という点で近い体験ができます。

また、沖縄美ら海水族館では、世界唯一の環境制御による「産卵フルコントロール技術」を用いた展示で、自然界では限られた条件下でしか見られない産卵を観察可能とのことです。インスタグラムで25年連続の産卵シーンが配信されています。

2026年7月9日 朝日新聞の記事で「夜の海に神秘的な光景 サンゴが一斉産卵、ピンクの粒漂う 奄美大島」では、動画も配信されていました。

サンゴを守る環境活動

地球温暖化による水温の上昇や環境汚染などにより、世界規模で大きな問題となっているサンゴの白化現象。環境省と沖縄県(次世代を担う子ども達向けへのリンク)のリンク先から考えるののもいい機会だと思います。

環境省 https://www.env.go.jp/nature/biodic/coralreefs/index.html

沖縄県 https://www.pref.okinawa.jp/kyoiku/kodomo/1002681/1002683/1002684.html

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